知ってて得する作曲術!vol.1「sus4」「7sus4」コードの使い方
こんにちは!アクセルノートミュージックスクール代表の雉岡です。
先日、J-popのレッスンをしている時に生徒からこのような質問を受けました。
「sus4(サスフォー)コードって弾けるんですけど使い方がいまいちよく分からなくて…。いつもなんとなく使えそうな所で使っているんです。ちゃんと理解して使いたいので具体的に教えて頂けませんか?
僕もコード進行に触れ始めた頃、同じような疑問を抱えた事がありました。「sus4」コードに限らず「add9」などのコードは使いやすく、理解が曖昧なままでも使えてしまう便利なコードだと思います。しかしながら、曖昧な捉え方をしたままのコードはいつか手癖のように扱ってしまい表現がマンネリ化してしまう可能性が…。より多彩な音楽を作り続けるためには曖昧なままにするのではなくコードについて理解を深める事が大切になってきます。そこで今回はコードの響きを活かした作曲術として『sus4』『7sus4』コードについて取り上げていきたいと思います!
sus4って?
早速ですが、「そもそもsus4ってどういうこと?」という疑問を解決して行きましょう。
『sus4』とは“suspended” fourth chord=サスペンデッド・フォース・コードを略したものになります。
この“suspended”とはサスペンデッド・ノート(Suspended Note)=掛留音(けいりゅうおん)を表しており、「サスペンデッド・ノート」はノンコード・トーン(非和声音)と呼ばれる基となるコードを構成している音以外の音の一種です。
※「suspend」には“浮遊する”“中止する”という意味があり、実際にsus4コードは浮遊感を持った特徴的な響きをしています。
Csus4の構成音
まずは『C』コードの構成音を見て行きましょう。
『C』=C・E・G(ド・ミ・ソ)Interval=Root/Major3rd/Perfect5th
次に『Csus4』コードの構成音を見て行きましょう。
『Csus4』=C・F・G(ド・ファ・ソ)Interval=Root/Perfect4th/Perfect5th
どこが変わったか気づきましたか?「ミ」→「ファ」になっていますね。
Cコードにおける「ミ」(Major3rd)は明るいor暗いを決める重要な役割を持っていますがこの音がサスペンデッド・ノートである「ファ」の音に変わることによって浮遊感を作り出しています。
※ちょこっと豆知識:『Csus4』は『C』コードのドミナント7thである『G7』の7thであるF音を伸ばしているイメージが元のイメージとも考えられています。
それではここまでの知識を使って実際どのように使ったらいいのか見て行きましょう!
sus4コードの使い方
まず『sus4』コードをどのような場面で使ったらいいのか
答えは“解決を遅らせたい時”です。※解決=ドミナントモーション(終止感)
例えば、サビ前にこのようなコード進行があったとします。
Bセクション サビ
|Dm7 |G7 |C |(Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅰ)
このコード進行は『ツーファイブワン』と呼ばれる定番コード進行で『G7』→『C』にかけてドミナントモーション(期待している音色に行って欲しい!と強く思わせる作用)が働いています。
ドミナントモーションの間に浮遊感のある響きを持ったsus4コードを使い解決を遅らせることによって更に期待を煽る事ができるのです。
Bセクション サビ
|Dm7 |G7 |C |(Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅰ)
↓ Csus4挿入
Bセクション サビ
|Dm7 |G7 |Csus4 |C |(Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅰsus4→Ⅰ)
※トライトーンと呼ばれる解決に導くインターバル(音の距離感)が二段階に分けて進むため遅れて聞こえます。また『G7』のF音が『Csus4』に含まれているのもハーモニーのポイントです。
このように解決を遅らせ、終止感に深みを持たせることによってよりドラマチックな展開を作り上げる事ができるコードが『sus4』なのです。
続いては『7sus4』コードを見ていきましょう。
『7sus4』の特徴
より効果的にsus系コードを使いこなすためにまずは特徴を理解しましょう。
「sus4」と「7sus4」コードの違いはドミナント7th音の有無です。
まずは構成音を見ていきます。
『C7sus4』=C・F・G・B♭(ド・ファ・ソ・シ♭)(※Root=『C』の場合)
『G7sus4』=G・C・D・F(ソ・ド・レ・ファ)(※Root=『G』の場合)
Interval=Root/Perfect4th/Perfect5th/Dominant7th
『7sus4』コードの最大の特徴はドミナントコードなのにトライトーンを含んでいない事です。先程、トライトーン(Tri Tone)とは解決に導くインターバル(音の距離感)の事とお話しましたが具体的には“増4度音程(三全音)”と呼ばれる非常に不安定な響きの事を指します。通常、ドミナント7thと呼ばれるコードにはこのトライトーンが含まれているのですが「7sus4」にこの響きはありません。これによって浮遊感があるのに透明感もあるという特徴的な響きとなっています。
どうして不安定な響きがないの?
本来であればドミナントコードにはMajor3rd,Dominant7thというトライトーンが含まれているのですが序盤でお話したようにMajor3rdの音がサスペンデッド・ノートであるPerfect4thに変化している事によってこのトライトーンの関係が崩れ透明感を生んでいるのです。
『7sus4』を使ってみよう!
“sus4コードの使い方”で作り上げたこちらのコードにそのまま応用して行きましょう。
Bセクション サビ
|Dm7 |G7 |Csus4 |C |(Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅰsus4→Ⅰ)
↓ G7sus4挿入
Bセクション サビ
|Dm7 |G7sus4ーG7 |Csus4 |C |
(Ⅱm7→Ⅴ7sus4-Ⅴ7→Ⅰsus4→Ⅰ)
ここでのポイントはDm7のminor7th音(C音)がG7sus4の構成音にも含まれているため流れよく段階を踏むように終止感に向かっており更にCsus4が挟まれている事によってどんどん解決が遅れて聞こえるのでより次のセクションへの期待を惹きつけるように力が働いています。これでより一層ドラマチックな展開になる事間違い無しです!
知っているから使いたい時に使える
ここまで読んで頂きありがとうございます。いかがでしたでしょうか?こういった作曲術は知っていればいるほど多彩なアレンジや作曲をする上でに非常に役立ちます。ぜひ、みなさんもコードの使い方をより理解した上で楽曲に取り入れてみてはいかがでしょうか?
もっと深く知りたい!という方へ
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— 雉岡 慧也 Keiya Kijioka (@keiya_kijioka) 2018年9月8日